自転車横断帯のある交差点での車道走行を考える

2015/10/10[公開] 2020/10/02[最終更新]

 先日Youtubeに上げた動画が、めずらしくアクセス数がアップしています。ヒヤッとした場面の動画ですが、相手の車が高級車ジャガーということもあり、どこかで紹介されて拡散したようです。嬉しい限りで、コメントもたくさん頂きましたが、車道を走るロードバイクには手厳しい意見が多いですね。

 なかでも、自転車横断帯がある横断歩道の交差点では、横断帯を通らなければいけないのでは?というコメントが多いことが気になりました。私はコレ、都市伝説的ルールだと思っています。車道から歩道側にある自転車横断帯を通るのは、現実ではありえない通行方法なので守らず走っていますが、再考してみました。

※あくまでも個人的意見の内容です。

このページの目次

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問題の動画

 場所は山手通りです。以前に記事にしたように、山手通りは歩道である自転車レーンは通らずに、車道を走ります。自転車は原則車道を走る。この大前提を最優先で守っています。

自転車横断帯を通らなければならない根拠

 歩行者用の信号機の場合で「歩行者・自転車専用」と表示してある交差点内では、車道ではなく自転車横断帯を通行します。

 対面する信号機が「赤」の場合は、停止線手前で一旦歩道に上がり、その対面する歩行者用信号機が「青色」になってから自転車横断帯を進みます。

rule3
引用:警視庁|自転車の交通ルール

 車道から突然、歩道側の横断歩道に突っ込めというルールの根拠は、この警視庁のHPが根拠として挙げられます。警視庁が言うのだから、このルールがあるのは間違いなさそうですね。このページには法的根拠は示されていませんが、おそらく道交法63条の7に定められている内容に沿った通行方法でしょう。

(交差点における自転車の通行方法)第六十三条の七

 自転車は、前条に規定するもののほか、交差点を通行しようとする場合において、当該交差点又はその付近に自転車横断帯があるときは、第十七条第四項、第三十四条第一項及び第三項並びに第三十五条の二の規定にかかわらず、当該自転車横断帯を進行しなければならない。

現実的ではないルール

 実際にこのルールを守って、車道を走ると危険すぎます。ほとんどの「歩行者・自転車専用」と表示してある信号機がある横断歩道は、車道とはかけ離れた歩道側に寄った位置に横断帯が設置されています。

左折と見せかけて、突然横断帯を進みます。
左折と見せかけて、突然横断帯を進みます。
2段階右折待ちの原付きとか自転車がいてもお構いなしに、突然車道に戻ります。
2段階右折待ちの原付きとか自転車がいてもお構いなしに、突然車道に戻ります。

本来あるべき横断帯

 このルールで走行するなら、こんな横断帯が必要でしょう。ここは横断歩道も歩行者用信号もありませんが、このくらいの位置に横断帯があれば理想的ではないでしょうか。

目白通りの三原台一丁目交差点
目白通り三原台一丁目交差点の自転車専用横断帯

横断帯は撤去の方向

 しかし、現実には上画像のような横断帯に切り替わるのではなく、横断歩道横にある横断帯は撤去が進んでいます。現在の交通ルールには合致していないとの判断なのでしょう。下画像のように、自転車横断帯が横断歩道に上書きされた交差点をよく見かけます。

自転車横断帯が消された跡がある横断歩道
自転車横断帯が消された跡がある横断歩道

撤去できない横断帯

 そんな状況でも、撤去できないのが歩道上に自転車レーンを作っちゃった道路です。その代表格が山手通りです。歩道上の自転車レーンと横断帯をセットで撤去する必要があるのですが、山手通りみたいに大々的に作っちゃった道路はそう簡単にはいかないでしょう。

 過去記事もご覧ください:

判断不可能な交差点の例(青山一丁目)

 以前記事にしたことがある246青山一丁目交差点です。これあとから「歩行者・自転車専用」と表示してある自転車横断帯がある交差点であると気づきました。車道走行中は停止線を超えるまで該当交差点であると認識不可能な交差点です。エスパー以外は車道の信号に従うしかありません。

2016/3/23追記: ここの交差点も自転車横断帯が撤去されました。

事前に該当交差点と知っている場合

 たとえ、自転車通勤などで毎日通るため事前に該当交差点であると知っていても、思い込み走行(だろう走行)でトリッキーな行動をするのは危険です。毎回自分の目で見て該当交差点であるか判断しながら走行する必要があります。昨日あった横断帯が今日もあるとは限りませんから。

 それを踏まえて、自分の目で見て該当交差点であると納得できる交差点ならば、交通ルールを守って進むのが良いでしょう。

対面信号が青、「歩行者・自転車専用」が赤、どうしますか?

 該当交差点だと知っていて、対面する車道の信号機が「」で、「歩行者・自転車専用」が「」のタイミングで交差点に差し掛かったらどうするのか、歩道に進んで信号待ちできなくもない、そんな交差点が毎日通るルートにあったらどうするか?人間性が問われるところです。

 交通ルール厳守で行くと決めていれば、周りに十分注意してビシッと歩道上に上がり停止する。もしくは一片の迷いもなく対面信号が青のうちに直進する。どっちつかずで優柔不断にフラフラするのが一番危険です。いっそ、そんなルール知らなきゃよかったと思うのは自分だけでしょうか?

停まるべきか、行くべきか...
停まるべきか、行くべきか…

ということで

 横断歩道側に寄っている自転車横断帯は撤去して、車道を走る自転車は車道上の信号機に従うようにするのが、安全性を兼ね備えた交通ルールであるし、その方向へ道路標示の改修作業が進行中である。しかし、歩道を走る自転車が多い交差点では、横断歩道横の自転車横断帯を撤去できずに残っているところもある。それを踏まえて、この交通ルールが存在したままなのです。

 歩行者用の信号機の場合で「歩行者・自転車専用」と表示してある交差点内では、車道ではなく自転車横断帯を通行します。

 自分の命を危険に晒してまで守りますか?という話なのです。私は車道を走る自転車は、車道上の信号に従い進みます。事故回避>>>交通ルール厳守でいきます。

 現在では、このあからさまに歩道側に引っ込んだ自転車横断帯は、道交法63条の7で規定している「付近」にあたる横断帯ではない。という考え方が自転車乗りの間では浸透しているようです。実際に東京高裁の判例もあるようです。(未確認情報)

 

追記

(2020/10/2追記)この記事を書く元となった初台坂下交差点の自転車横断帯ですが、現在では自転車横断帯は塗りつぶされて消されています。

2015年にはあった自転車横断帯
2020年には自転車横断帯は撤去されています。

“自転車横断帯のある交差点での車道走行を考える” への3件の返信

  1. はじめまして。
    車道を走るロードバイクには手厳しい意見が多い→ロクでもないロード乗りが多いですからね。いや、もちろん自動車のマナーも悪いですが、取り締まりがないと思っているのか自転車乗りのマナーは最悪です。

    1. コメントありがとうございます。たしかにそうですね。私も車を運転するときは車道を走る自転車には近づきたくないです。

  2. 自転車横断帯の前で一時停止し、左折車がいないことを確認して自転車横断帯を通るのが100%安全であり、動画のような通行方法は、強引に割り込んでくる悪質なドライバーがいる限りは事故になる確率が高く、安全を優先した通行方法とは言えないと思います。
    安全を最優先するなら、自転車横断帯の前で一時停止、です。

    law.jablaw.orgは自転車に都合の良いような法解釈を載せる詐欺まがいのサイトです。URLの記事を見ればその悪質さが分かると思います。
    信号で停止している車両や、そのために徐行している車両の側方を通過して前方に出ることは、割り込み等禁止違反になります。信号で徐行したり停車している車両の前に出るような危険行為を道交法が認めているのかを考えれば分かりそうなものですが、恐らく意図的に、割り込み等の禁止の項目を抹殺して、危険行為を誘発する情報を載せています。
    軽車両であっても、信号によって徐行していたり、停車している場合に、他の車両が割り込むことはできないはずです。

    http://law.jablaw.org/rw_ws4

    ※道路交通法
    (割込み等の禁止)
    第三十二条  車両は、法令の規定若しくは警察官の命令により、又は危険を防止するため、停止し、若しくは停止しようとして徐行している車両等又はこれらに続いて停止し、若しくは徐行している車両等に追いついたときは、その前方にある車両等の側方を通過して当該車両等の前方に割り込み、又はその前方を横切つてはならない。
       (罰則 第百二十条第一項第二号)

    単純に、乗降等で停車している車両ならば、その車両を追い越したり追い抜くことは可能ですが、信号の指示や危険回避の目的で徐行、停車中の車両の前に出ることはできないのです。
    law.jablaw.orgの主張は横断歩道の横の自転車横断帯が付近や当該交差点にある自転車横断帯ではないとするものですが、なぜ付近ではないのか、なぜ当該交差点にある自転車横断帯ではないのか説明がありません。
    判例といっても、公表することのできない判例だとしていますし、根拠が示されていない状態です。

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